射出成形機とは
金型を使ってプラスチック部品をつくための機械であり、連続成形を得意としているため、複雑な形状の製品を高速で大量生産することに向いています。基本的な機能としては成形材料(プラスチック樹脂のペレット)を可塑化する、金型キャビティに射出する、金型を開け締めするという一連の機能をはたしています。
主に射出部(射出ユニット)と型締め部(型締めユニット)に分かれており、コントローラーを用い作業をします。
射出の動力の方式としては下記の種類があります。
射出成形機には型締めユニットの方向により1、垂直 2、水平 の2種類があります。
それぞれ特徴が異なっており、生産する製品に合わせ使い分けられています。
油圧式と電動式の比較 メリットとデメリット
油圧式
高圧型締め力を比較的容易に実現できるが、精密な制御や複数のアクチュエータを同時に作動させることを苦手としています。
- メリット
- イニシャルコストが安い
- 成形条件が幅が広い
- 高圧の型締め力を条件が出しやすい
- 無理がきく(射出時間を非常に長く取る事ができる)
- 構造がシンプルであり、修理が容易
- デメリット
- ランニングコストがかかる
- 立ち上がり(暖機運転)に時間がかかる
- 消費電力が大きい
- メンテナンスに手間がかかる
- 精密制御が困難
- サーボモーターに比べ細かい制御が苦手
- 成形の再現性に乏しい
- 外乱の影響を受けやすく、作動油温度管理、品質管理が必要
- 音がサーボモーターに比べ大きい
- オイル漏れのリスクがある
- ランニングコストがかかる
電動式
コンピュータ数値制御(CNC)によるサーボモータでの駆動方式です。正確な動作が可能。またオイルを使わないため汚染リスクが少なく、クリーンルーム内ではこちらの方式が採用されやすい。
- メリット
- 省エネ
- 消費電力が小さい(油圧式と比較し40~50%削減)
- 高精度、高再現性
- 圧力や速度などの射出コントロールが細かい単位で制御可能
- 射出装置の制御が正確で成形条件の安定でき、成形の再現性が高い
- 制御の精度が高く、精度の高い監視システムの構築が可能
- 多段突き出し、突き出し量の制御など油圧では困難な作業が可能
※一部可能 - 室温、冷却水温、外乱の影響を受け難い
- 時間の短縮
- 立ち上がりが早い
- 独立したモーターにより、型開閉、射出、突き出し、軽量ができるため成形工程を並列進行させ成形サイクルの短縮できる
- 静音
- 成形環境がクリーン
- 油を使用しないため食品や医療関連の成形に適している
(※駆動のためのベルトからの発塵が懸念されることもある)
- 油を使用しないため食品や医療関連の成形に適している
- 省エネ
- デメリット
- 成形機自体が油圧に比べて割高
- 条件設定が難しい
- 射出速度を早くすることが困難(最近は2000mm/sレベルの条件も可)
- サーボモーターの限界を超えての稼働が不可能
ハイブリッド式
油圧式と電動式のそれぞれの有利な点を引き出すことを目的としています。様々な組み合わせ方があるため一概には語れませんが射出側、稼働側のいずれかを油圧式にすることが一般的です。

出展:革新的なハイブリッドポンプシステム搭載
例)日精樹脂工業㈱ ハイブリッド式射出成形機定義
駆動源に油圧装置(油圧ポンプ)と電動装置(ACサーボモータ)の両方を兼ね備えた射出成形機。①油圧式型締機構と電動式射出機構、②電動式型締機構と油圧式射出機構の組み合わせの他、当社では油圧ポンプの駆動源にサーボモータを用いたハイブリッドポンプを搭載した射出成形機もハイブリッド式と呼ぶ。
https://www.nisseijushi.co.jp/plastics/plastics4.php#line_h
ヨコ型成形機とタテ型成形機
射出成形機には横型と竪型があります。型締め方向が地面と水平になるのが横型、垂直方向が竪型です。
現在の射出成形機の主流は横型であり、その要因の一つとして型締め圧力の違いがあげられます。
竪型の型締め力は5t~300t、一方横型は3t~3000tと大きな開きがあります。
横型機と竪型機の比較 特徴の違い
横型射出成形機
- 製品取り出しを落下により行うことができるため、製品を取り出しやすい
- 強い型締め力が可能
- 成形機の高さがいらない

竪型射出成形機
- インサート成形、フープ成形が得意
- 金型に負荷がかかりにくく、金型寿命が長い
- 自動化、ロボット化しやすい
- 床面積が必要ない